平成22年度 第2回 新人セラピスト教育研修 -実施講習会等の概要-
テーマ: 「虚血性心疾患の運動処方・運動療法」
狭心症や心筋梗塞の虚血性心疾患は、高齢社会の現代で死亡率、発病率が高く臨床上、主病名や合併症として多く遭遇します。しかし、リスクの高さや評価・治療の困難性に皆さん困惑しているのではないでしょうか? そこで今回、虚血性心疾患の運動処方・運動療法を当院の包括的心臓リハビリテーションと合わせて概説します。
開催概要
開催日: 平成22年10月13日(水)
会 場: 東海大学八王子病院
参加人数: 81名
講 師: 宮古裕樹 先生
(東海大学八王子病院リハビリ訓練科)
内容
【1.虚血性心疾患の分類】
1)一過性心筋虚血(安定狭心症,不安定狭心症)
症状:5~15分以内でおさまる一過性の痛み。安静にすると良くなる。
原因:動脈硬化や冠攣縮、酸素の需要と供給のバランス
対応:ニトログリセリンが有効。
2)心筋梗塞
症状:30分以上長く続く焼けつくような激しい痛み。
原因:血管内プラークの破たん+血栓
対応:一刻も早く救急車で病院に行く。
【2.虚血性心疾患の治療】
一次予防:運動療法、食事療法、禁煙、薬物療法
急性期治療:冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術
二次予防:包括的心臓リハビリテーション
【3.心臓リハビリテーション】
目的と効果、生存率、運動処方、AT処方の根拠とメリット、
ATとPaeak VO2、MET、処方時の強度、
レジスタンストレーニングの意義と安全性,リスク管理
【4.リスク管理全般】
リハビリ中止基準、禁忌事項、病態の理解
【5.まとめ】
心に残った一言:「患者さんの苦痛を取り除き、楽しく長生きをしていただく。」
感想
- 難しい内容でしたが、何となく行っていた運動(バイタル等の最小限のチェック)もエビデンスが良く分かりました。施設なので医師の禁忌の指示もほとんどなく、今回教えていただいた事を十分に復習して、生かしていきたいと思います。ありがとうございました。
- 膨大な情報で消化するのに時間がかかるかと思いますが、とても為になる資料や情報で勉強になりました。作業療法士でも心臓リハに少し詳しくなるよう勉強していきたいと思います。ありがとうございました。
- 多くの情報を提示して頂き、多少ついていけない部分もありつつ、自力で幅広い勉強が出来ると思います。日常の臨床にて心循環に着目するきっかけになると思います。ご講演ありがとうございました。
- 心疾患や心リハについての知識が全くと言って良いほど無かったのですが、宮古先生の講義を受けて、少し心臓に対する知識が増えた気がします。外来の患者さんにも心疾患を合併している方はかなり多いので、自宅での生活におけるリスク管理について、医療者としてご本人や家族に正確に伝えることも重要だと思いました。
- 虚血性心疾患の運動療法について、専門的な知識を学ぶことが出来ました。私は1年目のSTなので、全てを理解することは出来なかったのですが、詳細な資料を作成して頂き、これを元に知識を再確認していこうと考えます。貴重な講演、どうもありがとうございました。
- 心臓リハになかなか触れる機会が無く、大変勉強になりました。専門的な内容で再度勉強が必要だと感じました。ありがとうございました。平地歩行の評価など、器具を用いなくても可能な指標の提示もありがたかったです。
- 急性期の心疾患を担当する機会は少ないですが、合併症・既往として心疾患のリスク管理を本日学んだことを活かしていきたいと思います。
- 虚血性心疾患に対するリスク等の知識を深めることが出来、今後のリハに応用できるようにしていきたいと思います。ありがとうございました。