平成22年度 第5回 新人セラピスト教育研修 -実施講習会等の概要-
テーマ: 「セラピストのためのコミュニケーションスキルアップ講座 基礎の基礎」
言葉でのコミュニケーションをとりにくい患者さまを前にして、戸惑ったことがありませんか。
障害の理解と、ちょっとした工夫で、その患者さまからもっとたくさんのことを引き出せるはず。
今回は特に高齢者に生じやすいコミュニケーション障害である失語症・構音障害・難聴について概説し、対応方法を紹介していきます。
開催概要
開催日: 平成23年1月12日(水)
会 場: 永生病院
参加人数: 43名
講 師: 八王子言語聴覚士ネットワーク
江村俊平 先生(永生クリニック)

内容
【1.構音障害】 発声・構音器官の運動障害 Speech
呼吸―発声/韻律―共鳴・構音
肺ー声帯―軟口蓋・舌・顎・口唇
脳―神経
原因:脳損傷、神経―筋疾患
評価:聴覚印象による重症度の評価 会話明瞭度
対応:発話のスピードを落とす 発話に慣れる
代償的表出手段:筆談、文字盤、トーキングエイド、レッツチャット、透明文字盤、意思伝達装置
【2.失語症】 言語言語を使用する能力の障害 Language
原因:言語野の損傷
共通の症状:喚語困難、錯語、聴理解の障害
対応:情報を伝える
状況理解を促す(絵、ジェスチャー、指さし、カレンダー・地図、画像検索)、適切な刺激入力(ノイズを減らす、区切ってゆっくり話す、繰り返す、情報を絞り整理する)
対応:情報を引き出す
じっくり待つ、代償表出手段(紙と筆記具、書字、描画、はい/いいえ、選択肢の提示)
【3.難 聴】 聴覚(聴こえ)の障害 Hearing
老人性難聴:内耳性 + 後迷路性難聴
原因:加齢に伴う生理的変化
特徴:語音弁別(言語音の聞き取り)困難、進行緩徐で自覚に乏しい、他問題を合併
対応:補聴器の適合、口の動きを提示、ゆっくり区切る、視覚的な刺激を活用
心に残った一言:「その人を知ることが、コミュニケーションのしやすさにつながる。」

感想
- 今まで聞いたことがあったが、理解が不十分であったことが確認でき、参加して良かったです。工夫次第で、コミュニケーションがしやすくなることが分かりました。明日から早速利用したいと思います。
- 臨床で失語症の患者さんとご家族とのコミュニケーションにおいて、何かアドバイスできたらと思っていながらもSTさん任せにしていた部分がありました。今日学んだ対応方法をOTとしてもご家族さんに提案できるようになりたいと思います。ありがとうございました。
- 分かりやすく、楽しく勉強させていただきました。構音障害の部位別の判定の仕方など聞いてみたいと思います。
- 中枢神経症状の有無に関わらず重要な内容だったと思います。身近なtopicでありながら新たな気付きがあり、明日から意識して取り組んでいきたいです。
- 失語の患者様を受け持っていて、表出方法を広げたいと思っていました。本日、研修を受けてそのヒントがいくつか得られました。ありがとうございました。
- 実例を含め、分かりやすかった。普段意識が少ないコミュニケーションを考えながら、患者に介入して行く必要があると感じた。
- 失語症や難聴の患者さまと関わる機会は非常に多いので、とても勉強になりました。本当に明日から使えるような詳しい対応の仕方を知ることができて、明日からの患者さまとのコミュニケーションがたのしみになりました。ありがとうございました。
- 私はSTですが、患者さまやご家族様に説明する場合にはこういう風に伝えればいいのかということを江村先生の講義から学ぶことができました。密度の濃い内容を分かりやすく楽しく学ぶことができました。どうもありがとうございました。
- STの方から話を聞く機会がないので、新たな知識が得られました。ありがとうございました。
- 具体的に映像や音声を用いて説明して下さったので、理解しやすかったです。

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