平成21年度 福祉用具適合講習会 -実施講習会等の概要-
テーマ: 語ろう! 福祉用具の明日 ―連携が生み出す自立支援―
開催日時: 平成22年1月29日(金)
会 場: 八王子市学園都市センター
参加人数: 96名
講 師:
木之瀬 隆 (日本医療科学大学 保健医療学部
リハビリテーション学科 教授)
木内基容子 (八王子市健康福祉部介護保険課)
大塚道子 (八王子市地域包括支援センターめじろ)
岩谷清一 (永生病院)
多良淳二 (スマイル永生)
姫野信吉 (ハートウェル株式会社 商品部 次長)
内容
報告
1) 北欧(ノルウェー)では、テクノエイドセンターを軸とし、リサイクル福祉用具の管理と適合支援を行う制度が確立。日本の介護保険サービスにも適合支援が位置づけられることを期待したい。
2) 八王子市では49,510人が福祉用具貸与を利用し、デイサービス、ホームヘルプに次ぐ(16.3%)(H20)。福祉用具1人あたり平均給付額は要介護度が高い程上がる傾向にある。
3) 介護予防ケアマネジメントでは歩行器>手すり>杖の順にレンタル多く、生活支援事業では電話相談>徘徊高齢者探索機器の貸与に比べ、緊急通報システムは普及しにくい。
4) 永生病院では、入院中家屋評価、シーティング・クリニック、家族介護教室、講師派遣等を実施。地域リハ支援センターは、講習会と車いすデータベースで情報提供を進めている。利用者御家族からは身近に福祉用具適合の情報や窓口、迅速な対応への期待がある。
5) 外来、老健、通所、訪問リハスタッフ29名へのアンケートから、選定に関する相談が最も多いが、備品の不足に困っており、試用品により対応する場合が多いことが明らかになった。
6) 福祉用具貸与事業者が減る中量より質の向上のための取組が求められている。消毒・点検・品質基準やシーティングへの取組を通じた安心・安全の提供、チームケアを課題としている。
ディスカッション
セラピスト等は適合性を重視するが経済状況や価格面への配慮が不足し、サービス全体の中でケアマネの調整が必要な場合がある。⇔セラピスト側の努力も必要。住宅改修等の決定に時間がかかり、福祉用具給付と時間差が生じ、利用者が困る場合もある。適切な期間に適切なサービスを提供できることが大切。
感想
- 選定・適合のために、どこに相談したらいいかわからないことが問題。包括支援センター等、やや中立で情報の集まるところがよいと思う。(福祉用具専門相談員)
- 利用者さんの収入面を意識しているのか?御質問は非常に耳が痛い。ただ、情報提供を頂いてないのも現状。連携が今後も必要。(福祉用具専門相談員)
- 施設の方が福祉用具を借りるのに支給が出ない部分は問題(OT).老健等施設では福祉用具の整備について不足面、不備面が目につく。(PT)
- 専門性をそれぞれが登録し連携をとるとよいと思いました。行政分野のため、利用者の近くの方の現状と課題が伺えてよかった。(行政関連)
- レンタル事業者がPT、OTと話し合ってサービスで提供するといわれましたが、めったにそのような事業者には会いません。(看護師)
- 家族や介助者の意向で用具が選定されているまたは利用者の意向が自立支援になっていないケースがあるのでは?一度レンタル・購入したものが漫然と使われているのではないか。レンタルのみ長期継続の利用者が相当数。サービス担当者会議で福祉用具が全く話題に上らない。(行政関連)
問題点
- 事業者のサービス内容の違い(アフターメンテナンスの有無)。種類・価格に対して一定の指標がない、事業者により異なる。(PT等)
- 日本の家屋状況、高齢者の住まいは福祉用具の活用に適さず、福祉用具のよさや必要性があっても必ずしも在宅に持ち込めない場合が多い。(介護支援専門相談員)
- セラピストには時間にゆとりをもち相手の身になりチームケアの一員に(退院時サービス担当者会議で意見のみ述べ退席、家族が不快・不安)。(介護支援専門相談員)
- 介護保険適応項目・条件が限られていて、必要なのに高い金額での購入や自費レンタルせざるを得なくなる。融通を効いた助成制度必要。(福祉用具専門相談員)
- 5‐6点をデモで求めるケアマネがいるが、労力・運搬費等には対価がない。全部だめな場合は悲惨、持ち帰り費用は業者負担。絞る努力必要。(福祉用具専門相談員)
- 軽度の認定の方のベッド、車いすなどの利用手続きが大変で医師の書類もなかなかもらえず困る。(福祉用具専門相談員)
- 3モーター等の機能を利用してない利用者もいる(コンセントを抜いて利用しているケースも多い)、ベッドの見直し等はしないケースが多い。(福祉用具専門相談員)